金曜日まで働く。明日は休日、川に行こうか、森に行くか。

森の中の話
秋、頭の上からどんぐりがぽとぽと落ちて来る。
一晩で信じられないくらい落ちて来る。
一年でこの数週間しか味わえない時間。
どんぐりを拾う。手のひらに載せる。
こうなると、誰でももちろん食べてみたくなるっしょ。
硬い殻をめくって、薄い皮もめくって
どんどんめくって、もう無心で嚙るっしょ。
よっしょいー。舌がしびれるほど渋いではないか。
とても食べれるものじゃない。
おい、リスたちよ。お前の舌は、どないなっとんねんと
ツッコミをいれる。
ウェルネス

川の中の話
夏、いつもの川原だ。
鮎釣りのおじさん、その下流で水浴びをする私。
おじさんの邪魔にならないように
私は静かに川の中へそろりそろりと忍び足。
首まで浸かる。風呂に入っているようだ。極楽だし。
水面から首だけひょっこり出して100m先の釣り竿を見つめる
釣れないようだ。さっぱり。
鮎はわずか1年しか生きられない生態のようだ。
夕方、帰り際におじさんと少し話す
「最近は鮎の放流が少なくてぜんぜん釣れんよ」と満たされない愚痴まみれ。
私は強い何かに満たされる。
鮎たちよ。君たちよくぞ、おじさんに釣られず
生き延びたね。泳いだね。いいぞ鮎たち。
美しい川の中での話
鮎はたった1年を美しく生ききる。
ウェルネス

パワースポットの話
小春日和、カミングアウトするなら
川原に来ると、とにかく脱ぎたくなる癖がある。
まず靴と靴下は脱ぐ。
あの快楽があるからだ。
両方の足の裏を川原の大きな石の上におくのだ。
よく、パワースポットがなんちゃらというがまさにそれだ。それはiPhoneの充電のようだ。
石と体がつながって何か分からないものが足からゾクゾク入って来る感じ。充電されている。逆かもしれない。体内の良くないものをアースのように放出しているのかも。
どちらにしても私の足の裏をのせられる
石にしてみればはたまったものではないだろう。石はいつも黙っているが君たちの気持ちは分かる。
でもね、人はみんな君が必要なんだよ。大きな石、小さな石、地球、みんなありがとね。
ウェルネス


心の中の話
週明けだ。仕事だ。
私の勤める会社はお菓子製造業。
製造している商品の一部は
規格外で売場には並べれない
小さなりんごや不揃いな野菜を原料としてお菓子へ加工している。
もう10年以上前からやってきたこと。
サステナブル。いい時代になってきた。
サステナブル。ワクワクする。
今まで無視されてた、捨てられそうな、りんごや野菜たちに
光が差してきた。今やヒーローだよ。ようやくだ。
その活躍ぶりに、カッコよさに胸が熱くなる。エールを贈ろう。
ハッピーウェルネス

わだっち