プロテインバーや、青汁、サプリメントといった健康食品のパッケージによくある「健康補助食品」や「栄養調整食品」という表示をご存じでしょうか?
これらは健康食品の多くに記載されていますが、「見たことはあるけど、何の表示でどんな意味なのかは知らない」という方のほうが多いかと思います。
また、同じような健康食品でも「栄養補助食品」だったり、「栄養調整食品」だったり表示の仕方も様々です。
そこで今回は、機能性表示の中でも「栄養調整食品」にフォーカスして、その定義やメリット・デメリット、栄養補助食品との違いなどを詳しくご紹介します。
栄養調整食品とは
まずは「栄養調整食品」とはそもそも何なのか、基礎知識から学んでいきましょう。
完全栄養を目指した加工食品のこと
まず大前提として、健康食品は「広く健康の保持増進に資する食品」として該当・利用されているもののことを指します。
その中でも国が定めた安全性や有効性に関する基準を満たしている場合に「保健機能食品」と称し、機能性の表示ができます。
いわゆる「特定保健用食品(トクホ)」や「栄養機能食品」「機能性表示食品」などがこれらに該当します。
一方で「栄養補助食品」「健康補助食品」「栄養調整食品」といった表示で販売されている食品は一般食品です。
「健康食品」とも呼ばれていますが、機能性の表示はできません。
つまり、栄養調整食品は国が制度化したものではないため、一般食品ということになります。
ただ、栄養調整食品はタンパク質や脂質、ミネラルやビタミンといった身体に必要な栄養素をバランスよく含んでいるので、完全栄養を目指した加工食品に分類されます。
栄養調整食品の魅力
では、栄養調整食品にはどんな魅力があるのでしょうか?
続いて、栄養調整食品の3つの魅力をご紹介します。
栄養バランスが良い
栄養調整食品は完全栄養を目指した食品なので、身体に必要な栄養素がバランスよく含まれている点が大きな魅力です。
1日や1食あたりに必要な炭水化物量やタンパク質量、脂質やビタミン、ミネラルといった栄養がしっかりと含まれているので、食事だけでは補いきれない栄養も手軽に補給できます。
また、食品の中には、日本人の食事摂取基準に合わせた栄養設計をしているものなども多いので、栄養管理が苦手な方や、病気や高齢で食事を十分に食べられない方でも、1日に必要な栄養を摂取できる点が大きなメリットと言えます。
手軽に栄養補給が可能
栄養調整食品は手軽に栄養補給ができるところも魅力の一つです。
栄養調整食品は、プロテインバーなどのバータイプのお菓子や、ゼリー飲料、介護向けの流動食として販売されていることが多いため、食が細い方や病気などで満足に食事を摂れない方でも、手軽に栄養を補給できます。
1食あたりの栄養バランスもしっかりと考えて作られており、腹持ちがいいものも多いので、置き換え食品として活用するのもいいでしょう。
栄養管理がしやすい
栄養調整食品の多くは、商品パッケージにカロリーや栄養素の配合量などを細かく記載しています。
そのため、栄養管理がしやすい点も魅力の一つです。
配合されている栄養成分と1食あたりの配合量が詳細に記載されているので、不足している栄養に合わせて商品を選びやすいところも嬉しいポイントと言えます。
栄養調整食品と栄養補助食品の違い
続いて、混合しがちな「栄養調整食品」と「栄養補助食品」の違いを詳しくご紹介します。
利用目的
栄養調整食品と栄養補助食品の主な利用目的はほぼ同じです。
栄養調整食品も、栄養補助食品も、基本的にはビタミンやミネラル、アミノ酸など毎日の食事だけで摂取するのが難しい栄養素を補助することを目的としています。
食品表示法
機能性を表示することができる食品として、これまでは、国が個別に許可した「特定保健用食品(トクホ)」と国の規格基準に適合した「栄養機能食品」の2種類がありました。
ですが、機能性を分かりやすく表示した商品の選択枠を増やし、消費者が商品の正しい情報を得て選択できるよう、平成27年に新しく「機能性表示食品」制度がはじまり、機能性が表示できる食品として新たに「機能性表示食品」が加わりました。
このように食品の機能性表示の仕方は現在様々なものがありますが、栄養調整食品も栄養補助食品も、国が制度化したものではないため、「一般食品」に分類されます。
栄養面
栄養調整食品も、栄養補助食品も「一般食品」に分類されますが、一般食品といっても完全栄養を目指した食品なので、栄養価の高さや栄養バランスの面では通常の食品と異なります。
栄養調整食品や栄養補助食品の多くは、1食や1日あたりの栄養バランスをしっかりと考えて作られているので、ビタミンやミネラル、食物繊維など普段の食事だけでは十分に摂取しきれない栄養を効率よく補給できる点が大きな魅力と言えるでしょう。
使用用途
使用用途も、栄養調整食品・栄養補助食品ともに基本的には同じです。
どちらも、普段の食事だけでは補いきれない栄養素を補助するために作られた食品なので、食が細くて十分な栄養を摂取できない方や、病気やご高齢で食事を満足に摂取できない方の栄養補助として活用されることが多い印象です。
その他、プロテインバーなど栄養調整食品は、トレーニング時の栄養サポートや、ダイエット中の置き換え食として利用されることもあります。
保健機能食品との比較表
また、以下は栄養調整食品と保健機能食品の定義や特徴を比較したものになるので、気になる方は参考にしてみてください。
栄養調整食品 |
保健機能食品 |
|
許認可 |
なし |
・栄養機能食品:自己認証国への届け出なし ・特定保健用食品:国が個別に審査し、消費者庁長官が許可 ・機能性表示食品:自己認証販売前に国へ届け出が必要 |
定義 |
栄養成分を補給する食品 |
・栄養機能食品:1日に必要な栄養成分の不足を補うために利用できる食品 ・特定保健用食品:国が機能や安全性を個別に審査し、食品ごとに消費者庁が許可した、科学的根拠に基づいた機能を表示した食品 ・機能性表示食品:事業者の責任において科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品 |
特徴 |
国が定義や制度化している食品ではない。(一般食品) |
・栄養機能食品:科学的根拠が明確にされている成分を一定の基準量含んでいる食品 ・特定保健用食品:健康増進や維持に役立つことや、ある条件を持つ人に適することを表示された食品 ・機能性表示食品:健康増進や維持に役立つことや、ある条件を持つ人に適することを表示(栄養成分は対象外) |
栄養調整食品のメリット・デメリット
続いて、栄養調整食品のメリットとデメリットをご紹介します。
メリット
まずは、栄養調整食品のメリットから見ていきましょう。
■栄養調整食品の主なメリット
・食事で補いきれない栄養を手軽に摂取できる
・栄養バランスの管理がしやすい
・置き換え食品などに活用しやすい
・コンビニやドラッグストアなどで手軽に入手できる
やはり一番のメリットは、普段の食事だけで補いきれない栄養を手軽に摂取できることです。
また、栄養バランスの高さから、ダイエット中の置き換え食として活用できる点も栄養調整食品のメリットの一つと言えます。
デメリット
一方で、栄養調整食品には以下のようなデメリットもあります。
・科学的根拠に基づいた効果や機能が保証されているわけではない
・栄養調整食品に依存しがち
・流動食などの栄養食を取り入れると咀嚼回数が減ることで顎の筋肉が衰える可能性がある
・満足感の得られにくい商品も多い
特に置き換え食品として利用する場合、「栄養価が高いから食事はこれだけで大丈夫。」と栄養調整食品に依存してしまう可能性もあるので注意が必要です。
1日の食事のうち、1~2食を置き換えたり、普段の食事にプラスしたりするなど、上手く食生活に取り入れながら、バランスのいい食生活を意識するようにしましょう。
栄養調整食品の種類
続いて栄養調整食品の種類をご紹介します。
ゼリー飲料
栄養調整食品の中でも代表的なものと言えば、ゼリー飲料です。
ゼリー飲料は食欲がない時や、素早く栄養を補給したいときに最適です。
特に栄養調整食品のゼリー飲料は、普段の食生活で不足しがちなマルチビタミンやアミノ酸といった栄養を強化した商品が多いので、栄養価の高さや栄養バランスの良さでは文句なしと言えるでしょう。
食事が十分にとれない時や、運動時のエネルギー補給などに活用してみてください。
シリアルバー
シリアルバーは、オーツ麦や大豆、玄米や小麦などの穀物に、ナッツやクランベリーなどを合わせたバータイプのお菓子のようなもので、ザクザクとした食感で腹持ちがいいところが魅力です。
穀物由来の食物繊維が豊富に含まれており、満足感も十分なので、ダイエット中の置き換え食品や小腹サポートとしても活躍してくれます。
バータイプでいつでも気軽に食べられるので、忙しい朝の朝食代わりにもおすすめです。
バランス栄養食
バランス栄養食も栄養調整食品の一つです。
バランス栄養食は、厚生労働省が示す食事摂取基準をもとに栄養素を配合したものも多く、食事系やスナック系まで種類が豊富なので、それぞれの目的や好みに合わせて選べます。
1食で多くの栄養素が摂取できるので、栄養不足が気になる方や、普段の食事だけで十分な栄養を摂取するのが難しい方におすすめです。
栄養調整食品の購入場所
そんな栄養調整食品ですが、どこで購入できるのでしょうか?
続いて、栄養調整食品の購入場所を見ていきましょう。
通販サイト
栄養調整食品は、ネット通販サイトなどで気軽に購入できます。
Amazonや楽天などの大手通販サイトをはじめ、栄養調整食品を専門に取り扱う通販サイトなどもたくさんあるので、購入を検討している方は検索してみてください。
ドラックストア・薬局
また、ドラッグストアやスーパー、コンビニなどでも栄養調整食品は購入できます。
プロテインバーやカロリーメイトなどの栄養調整食品は、コンビニなどでも販売されているので、チェックしてみてください。
ただ、通販サイトと比べると商品数や種類が少ないので、メイバランスなどの本格的な完全栄養食を探している方は、通販サイトから購入するといいでしょう。
栄養調整食品の注意点
最後に栄養調整食品を利用する際の注意点をご紹介します。
医師への相談を推奨している
栄養調整食品を取り入れる際は、一度かかりつけの医師などに相談することをおすすめします。
特に持病がある方や、妊娠中の方、栄養調整食品の中でもサプリメントを利用したいという方は、念のためかかりつけのお医者さんに相談してから摂取しましょう。
服用している薬の効果が半減したり、身体に悪影響を及したりといった危険性もあるので、自己判断で摂取するのはNGです。
まとめ
今回は、栄養調整食品の定義やメリット・デメリット、栄養補助食品との違いなどを詳しくご紹介しました。
栄養調整食品には、
・手軽に栄養を補える
・食事で不足しがちな栄養を補給できる
・気軽に取り入れられる
・栄養バランスの管理がしやすい
といった様々なメリットがあります。栄養調整食品を上手に活用することで、健康増進や維持に繋がるので、普段の食事にプラスしたり、朝や夜ごはんの置き換え食として活用したりなどで、上手に取り入れてみてください。