「食物繊維はダイエットにいいって本当?」
「食物繊維を多く含む食品は?」
ダイエットや健康維持のために食物繊維を心掛けて摂取している方は多いと思います。
食物繊維には腸内環境を整える働きや、脂質、糖を排出する働きなどがあり、ダイエットをはじめ、多くの健康・美容効果をもたらしてくれるので、積極的に取り入れたい栄養素の一つです。
そこで今回は、食物繊維のダイエット・健康効果や、1日の摂取目安量、食物繊維を多く含むおすすめ食材ランキングなどを詳しくご紹介します。
食物繊維を取り入れたいけど、何を食べればいいか分からない、どのくらい摂取したらいいのか分からない…という方はぜひ参考にしてみてください。
食物繊維の種類
まずは、食物繊維とは何なのか、基礎知識から学んでいきましょう。
水溶性と不溶性の2つ
食物繊維は、人の消化酵素では消化されにくい食物に含まれている、難消化性成分の総称です。
その中でも大きく2つに分けられ、水に溶ける水溶性食物繊維と水に溶けない不溶性食物繊維があります。
どちらも、体内には吸収されませんが、健康維持に重要な役割を担っており、第六の栄養素とも言われています。
■水溶性食物繊維
水溶性食物繊維は、水に溶けやすいのが特徴で、水に溶けるとゼリー状になります。
水溶性食物繊維には、小腸での栄養素の吸収速度を緩やかにしたり、食後の血糖値の上昇を抑えたりする働きがあります。
■不溶性食物繊維
一方で不溶性食物繊維は、水に溶けにくいのが特徴で、体内に入ると水分を吸収して便の容積を増やす働きがあります。
どちらも、摂取することで大腸内の細菌により発酵・分解され、ビフィズス菌などの善玉菌の餌となるので、腸内環境を整える効果が期待できます。
水溶性食物繊維、不溶性食物繊維ともに体に良い働きをしてくれることに変わりはありませんが、それぞれにメリット・デメリットがあります。
以下でそれぞれのメリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。
水溶性のメリット・デメリット
水溶性食物繊維は、食後の血糖値の上昇を抑えたり、脂質やナトリウムの排出を促したりしてくれます。
また、小腸で栄養素を吸収するスピードを緩やかにしてくれるため、血糖値だけでなくコレステロール値の上昇を抑える効果がある点がメリットと言えます。
しかしその一方で、摂り過ぎると、ビタミンやミネラルなどの栄養素の吸収も抑えてしまう点がデメリットです。
中でも果物や野菜に多く含まれるペクチンや、海藻類に含まれるアルギン酸などの水溶性食物繊維は、ビタミンなど体に必要な栄養の吸収まで抑えてしまう傾向があるので、食べ過ぎには注意しましょう。
不溶性のメリット・デメリット
不溶性食物繊維は、穀類や野菜、豆類やキノコ類などに多く含まれ、胃や腸で水分を吸収して大きくふくらみ、腸のぜんどう運動を活発にしてくれるので便通の改善に効果的です。
また、大腸で発酵・分解されることでビフィズス菌などの善玉菌が増えるので腸内環境を整えてくれる点がメリットと言えます。
ただし、摂り過ぎると便の量が増えすぎて腸内で固まり、排泄されにくくなるのでお腹の張りや便秘の原因に繋がります。
食物繊維は便通改善に良いと言われていますが、過剰摂取はかえって便秘を悪化させる可能性があるので、1日の摂取量を守って取り入れましょう。
食物繊維が多い食べ物ランキング10選
続いて、食物繊維を多く含む食べ物10選をご紹介します。
100gあたりの食物繊維量が多い順にランキング化したので、食材選びでお悩みの方は参考にしてみてください。
■食物繊維の多い食べ物ランキングTOP10
食品名 |
食物繊維量(100gあたり) |
その他の栄養成分 |
|
1位 |
ゆできくらげ |
16.3g |
ビタミンD、ミネラル、葉酸など。 |
2位 |
生おから |
11.5g |
ナトリウム、タンパク質、ビタミンC、カルシウムなど。 |
3位 |
グリーンピース |
7.7g |
ナトリウム、タンパク質、鉄分、ビタミンB6など。 |
4位 |
納豆 |
6.7g |
ビタミンB2、ナイアシン、葉酸、タンパク質など。 |
5位 |
ゴボウ |
5.7g |
ビタミンC、タンパク質、ポリフェノール、イヌリンなど。 |
6位 |
アボカド |
5.6g |
葉酸、カリウム、ビタミンC、ビタミンK、マグネシウムなど。 |
7位 |
ブロッコリー |
5.1g |
カリウム、鉄分、ビタミンC、葉酸、タンパク質など。 |
8位 |
えだまめ |
5.0g |
ビタミンC、イソフラボン、カルシウム、ビタミンB6など。 |
9位 |
オクラ |
5.0g |
βカロテン、ビタミンA、ナトリウムなど。 |
10位 |
生しいたけ |
4.6g |
ビタミンC、カルシウム、ビタミンD、鉄分など。 |
他にも、キノコ類や海藻類、芋類などは食物繊維が豊富に含まれているので、全体的な栄養バランスを考えながら、万遍なく取り入れましょう。
食物繊維の1日の目安摂取量
先ほどもお話したように、食物繊維の摂り過ぎはビタミンやミネラルの吸収を遅らせたり、便秘を悪化させたりする可能性があるためNGです。
では、健康やダイエットのためには1日どれくらいの食物繊維を摂取するのが理想なのでしょうか?
続いて、食物繊維の1日の目安摂取量をご紹介します。
理想は1日24g以上
厚生労働省策定の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、1日あたりの食物繊維の目標量を、18歳~64歳男性で21g以上、女性で18g以上としています。
また、欧米では1日あたり24g以上の食物繊維を摂取することで、心筋梗塞や脳卒中、乳がんや胃がんなどの発症リスク低下が認められたという研究報告もあるので、1日24g以上を目安にするのが理想です。
食事だけで取り入れるのが難しい場合は、サプリメントなどの健康補助食品も活用してみてください。
食物繊維の効率的な食べ方
続いて、食物繊維を効率良く摂取するためのおすすめの食べ方をご紹介します。
麦ごはん・全粒粉パンに換える
普段の食事で食物繊維を効率良く摂取するには、主食を麦ごはんや全粒粉パンに変えるのがおすすめです。
もち麦ならご飯に混ぜて炊くだけなので簡単に作れて、1日2杯分の量で不足しがちな食物繊維を補えます。
特にもち麦には、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方がバランスよく含まれているので、普段食べている白米を麦ごはんに置き換えましょう。
海藻・きのこ等を毎食に加える
また、海藻類やキノコ類をメニューにプラスするだけでも、効率良く食物繊維を摂取できます。
海藻サラダや、レンジで簡単に調理できるキノコを使ったレシピなども多いので、いつもの食事に手軽に取り入れられます。
海藻やキノコ類には、ビタミンやミネラルなどの栄養も豊富に含まれているので、主食や副菜にプラスすることで、栄養バランスも良くなります。
麦ごはんや全粒粉パンの置き換えと併せて、海藻類やキノコ類も積極的に取り入れましょう。
食物繊維が足りないとどうなる?
ここまで、食物繊維の種類とメリット・デメリット、食物繊維の効率的な摂取方法などをご紹介しました。
食物繊維は健康的で美しい体をつくるために必要不可欠な栄養素です。
では食物繊維が不足していると、体にどんな影響を及ぼすのでしょうか?
便秘・生活習慣病リスクが高まる
食物繊維不足によって大きな影響を受けるのが、腸内環境です。
食物繊維が足りていないと、腸内環境が悪化するため便秘になりやすくなります。
また、肥満や糖尿病といった生活習慣病リスクも高めます。
便秘によって痔や大腸ガンなどのリスクも高くなるので、1日の摂取目安量である24gを下回らないようにしましょう。
食物繊維の効果
続いて、食物繊維を摂取することで得られる健康・美容効果を詳しくご紹介します。
整腸効果
食物繊維には便の体積を増やして大腸を刺激する働きがあるので、整腸作用によって便通改善が期待できます。
さらに、大腸まで到達すると、大腸に住む腸内細菌のエサとなって善玉菌を増やしてくれるので、腸内環境を良くしてくれます。
腸内環境が整うことで、新陳代謝のアップや肌荒れ防止といった効果も得られるので、ダイエットや美容にも効果的と言えるでしょう。
生活習慣病の予防
食物繊維には、脂質や糖質、ナトリウムなどを吸着して体外へと排出する働きがあるので、生活習慣病の予防に役立ちます。
特に脂質や糖質の摂り過ぎは、脂質異常症や肥満、糖尿病や高血圧などのリスクを高めると言われているので、食物繊維を多く含む食品と併せて摂取することで、生活習慣病の予防・改善が期待できます。
肥満予防
また、食物繊維には食べ物に含まれるコレステロールの吸収を抑える働きもあります。
さらに、コレステロールを体外へ便と一緒に排出する働きもあるので、肥満予防に繋がります。
食物繊維の効果によって腸内環境が整うことで、代謝アップも期待できるので、痩せやすく太りにくい体質へと導いてくれるでしょう。
血糖値上昇の抑制
食物繊維を摂取することで、糖の吸収速度が緩やかになるので、血糖値の急上昇を抑えて食後の高血糖を防げます。
血糖値を急激に上昇させてしまう白米なども、食物繊維が豊富な食べ物と一緒に食べることで緩やかにしてくれるので、炭水化物や糖質の多い食事をするときは、食物繊維の豊富な野菜や海藻類、キノコ類などを一緒に食べるのがおすすめです。
血中コレステロール濃度の低下
食物繊維には、血糖値の急上昇を抑制するだけでなく、血液中のコレステロール濃度を低下させる働きもあります。
さらに、ナトリウムを排出する効果もあるので、高血圧予防にも繋がります。
美容・美髪効果
食物繊維の摂取によって腸内環境が改善されることで、代謝もアップするので、痩せやすく太りにくい体質になります。
また、腸内に溜まった不要な老廃物も排出されるのでデトックス効果によって、美肌・美髪効果も得られます。
肌環境は腸内環境を表すとも言われているので、腸内環境が綺麗になれば、肌も同じように綺麗になるのです。
食物繊維には、美容・美髪効果も期待できるので、日々の食生活にしっかり取り入れていきましょう。
まとめ
今回は、食物繊維のダイエット・健康効果や、1日の摂取目安量、食物繊維を多く含むおすすめ食材ランキングなどを詳しくご紹介しました。
食物繊維には、腸内環境を整えたり、血糖値やコレステロールの上昇を緩やかにしたり、肥満などの生活習慣病を予防したりといった、多くの健康・美容効果があります。
私たちの体にとって必要不可欠な栄養素なので、摂り過ぎに注意しながら、日頃から積極的に取り入れていきましょう。