チョコレートやココアなどに含まれるカカオポリフェノールは、動脈硬化の予防や、アレルギーの改善、脳機能の活性化といった様々な健康効果があり、近年注目を集めている成分の一つです。
カカオポリフェノールは、主に高カカオチョコレートに多く含まれるため、健康・美容目的で取り入れる方も増えてきました。
しかし、健康に良いからと言って摂り過ぎると逆効果になることもあるので、1日の摂取目安量には注意が必要です。
そこで今回は、カカオポリフェノールに期待できる8つの健康・美容効果とカカオポリフェノールの効率的な摂取方法、1日の摂取目安量などを詳しくご紹介します。
カカオポリフェノールとは
まずは、カカオポリフェノールとはどんな成分なのか、基本から学んでいきましょう。
カカオ豆に含まれる抗酸化物質
カカオポリフェノールは、チョコレートの原料であるカカオ豆に含まれる、ポリフェノール類の総称で、主にカテキン、エピカテキン、プロシアニジン類からなります。
抗酸化作用が強く、老化や様々な疾患の一因となる体内の活性酵素を除去する役割を担っているので、アンチエイジングなどの美容効果も期待できます。
一般的なミルクチョコレートよりも、高カカオチョコレートに多く含まれている成分なので、カカオ70%以上のチョコレートを選びましょう。
ちなみにカカオポリフェノールが含まれているのは、カカオマスが使用されているチョコレートなのでホワイトチョコレートには含まれていません。
チョコレートならどれでもいいというわけではないので、その点は注意が必要です。
自然食品からポリフェノール摂取が難しい
ポリフェノールは、自然界に約5,000種類以上あると言われています。
ポリフェノールと一言に言っても、その種類は多く、カカオポリフェノールをはじめ、カテキンやアントシアニン、ルチンなど様々です。
■ポリフェノールの主な種類と含まれている食品
・カカオポリフェノール:チョコレート、ココア
・カテキン:緑茶、紅茶
・アントシアニン:赤ワイン、ブルーベリー、なす、ブドウ
・ルチン:そば、玉ねぎ、柑橘類
・コーヒーポリフェノール:コーヒー
ポリフェノール自体は多くの食品に含まれていますが、実は、自然食品から摂取するのが難しいとも言われています。
その中でも、手軽にポリフェノールを摂取できるのが、カカオポリフェノールを多く含んでいる、高カカオチョコレートやココアです。
おやつや、飲み物として毎日の習慣にしやすいので、日々の食生活で効率良くカカオポリフェノールを取り入れることができるでしょう。
カカオポリフェノールの効果
続いて、カカオポリフェノールの健康・美容効果を詳しくご紹介します。
期待できる美容・健康効果は8つ
カカオポリフェノールは主に、カカオ70%以上の高カカオチョコレートに多く含まれます。
高カカオチョコレートを摂取することで、腸内環境の改善や、美肌効果、ダイエット効果など多くの効果をもたらしてくれるので、日頃から高カカオチョコレートやココアを取り入れていきましょう。
高カカオチョコレートを食べることで得られる、健康・美容効果は主に8つです。
以下でより詳しく見ていきましょう。
血圧低下
カカオポリフェノールには、血圧を下げる効果があることが分かっています。
血圧の上昇は、血管壁の炎症など血管が狭くなることで起こるのですが、カカオポリフェノールには、炎症を軽減させる作用があるので、狭くなった血管が広がることで血流が改善し、血圧が下がります。
実際に行われた研究でも、カカオ70%以上のチョコレートを1日25g食べたところ、1ヵ月後に最高血圧・最低血圧ともに低下したという結果も報告されています。
高血圧の方は、1日25gを目安にカカオ70%以上のチョコレートを毎日食べると良いでしょう。
動脈硬化予防
カカオポリフェノールには、動脈硬化を予防する働きもあります。
動脈硬化を引き起こす原因の一つは、LDL(悪玉)コレステロールの酸化です。
カカオポリフェノールには、抗酸化作用があるため、LDLコレステロールの酸化を防ぎ動脈硬化を予防してくれます。
老化防止
カカオポリフェノールの代表的な効果の一つに、抗酸化作用があります。
抗酸化作用によって、体の酸化(老化)の原因である活性酵素を除去してくれるので、肌荒れやくすみ、しわやたるみといったエイジングサインを防いで、若々しい肌へと導いてくれます。
肌の水分量を増加させたり、キメを整えたりといった効果もあるので、カカオポリフェノールを日頃から摂取することで、美肌効果も得られるでしょう。
アレルギー改善
また、カカオポリフェノールにはアレルギーの予防・改善効果もあります。
カカオポリフェノールを摂取することで、アレルゲンに対して抗体が作られるのを防いだり、肥満細胞からヒスタミンが放出されるのを防いだりしてくれるので、アレルギーの発症を抑えてくれます。
花粉症やダニアレルギー、ハウスダストといったⅡ型アレルギーにも効果的なので、アレルギー体質でお悩みの方にも高カカオチョコレートをおすすめします。
脳の活性化
カカオポリフェノールを摂取すると、脳血流量が上昇することも分かっています。
さらに、脳の活動を支えているタンパク質の一種である、BDNFを増やす作用もあるので、認知症の予防や、脳機能の活性化が期待できます。
特にBDNFは加齢とともに減ってしまうので、高カカオチョコレートやココアなどカカオポリフェノールを多く含む食品を日頃から意識的に摂取することが大切です。
便通改善
カカオポリフェノールを多く含む高カカオチョコレートには、タンパク質の一種であるカカオプロテインも含まれています。
カカオプロテインは小腸で吸収されにくいという特性を持っているので、大腸までしっかりと届いて、腸内細菌のエサや便量を増やす効果があります。
さらに、高カカオチョコレートには食物繊維も含まれているので、カカオプロテインと食物繊維のダブル効果で、腸内環境を整え便通を改善してくれます。
腸内環境が良くなることで、基礎代謝の向上やむくみの改善、デトックス効果や肌荒れの改善といった様々な健康・美容効果も得られるでしょう。
認知症予防
カカオポリフェノールを多く含む高カカオチョコレートを継続して摂取することで、脳由来神経栄養因子のBDNF値が上昇することも明らかとなっています。
BDNFは記憶力や、アルツハイマー型認知症との関連性が報告されており、高カカオチョコを摂取することで、認知症を予防したり、進行を遅らせたりする効果があるとされています。
実際に行われた研究でも、高カカオチョコレートを摂取することでBDNFの上昇が確認されているので、カカオポリフェノールが脳機能の向上や認知症予防に働きかけるのは間違いないでしょう。
リラックス効果
カカオポリフェノールには、疲労回復や精神の安定、リラックスを促す効果もあります。
チョコレートを食べると幸福感を感じたり、ホッとリラックスできたりするのはこのためです。
精神的ストレスを改善する働きがあるので、疲れやストレスが溜まっていると感じる時は、チョコレートを食べて一息つくのがおすすめです。
また、高カカオチョコレートに含まれる必須アミノ酸のトリプトファンは、抗うつ成分であるセロトニンの原料となるため、セロトニンの生成を促して精神の安定を図ってくれます。
うつ病の予防・緩和などにも効果的なので、気分が落ち込んでいる時などにも高カカオチョコレートはおすすめです。
カカオポリフェノールの効率的な摂取方法
カカオポリフェノールの健康・美容効果を最大限に発揮するためには、チョコレートの種類や1日の摂取量など、正しい摂取方法で取り入れることが大切です。
続いて、カカオポリフェノールの効率的な摂取方法をご紹介します。
高カカオチョコレートがおすすめ
カカオポリフェノールは、一般的なミルクチョコレートよりも、高カカオチョコレートに多く含まれています。
カカオマスが使用されているチョコレートのみに含まれる成分なので、ホワイトチョコレートなどには含まれていません。
そのため、カカオ70%以上の高カカオチョコレートを取り入れましょう。
いわゆる「ダークチョコレート」と呼ばれるものです。
ダークチョコレートの条件とは?
ダークチョコレートとは、カカオ含有率が55%以上のチョコレートのことを言います。
チョコレートの原料である、カカオ豆から作られる「カカオマス」を重量比で40%以上使われたチョコレートのことで、「ダークチョコレート」や「ブラックチョコレート」などと呼ばれています。
カカオの含有率が高い分、一般的なミルクチョコレートと比べて苦いので、苦味が苦手な方は、ホットミルクに入れたり、バニラアイスなどにトッピングしたりすると美味しく食べられます。
他にもココアに溶かして入れたり、ケーキなどスイーツの生地に入れたりすることで、食べやすくなるので、アレンジしてみてください。
カカオポリフェノールの1日摂取目安量
カカオポリフェノールは、一度にたくさん摂取しても体外に排出されてしまうので、1日複数回に分けて食べるのがおすすめです。
続いて、カカオポリフェノールの1日の摂取目安量をチェックしましょう。
1日200mg摂取がおすすめ
カカオポリフェノールの摂取目安量は、1日200mgが推奨されています。
高カカオチョコレートで摂取する場合は、1日あたり15~25gを目安に取り入れましょう。
カカオポリフェノールの含有量はチョコレートのカカオ分(%)によって異なるので、成分表をチェックして、カカオポリフェノールの含有量を確認してみてください。
カカオポリフェノールの摂りすぎはNG?
健康や美容に良いからといって、高カカオチョコレートを食べ過ぎるのは良くありません。
高カカオチョコレートや、一般的なミルクチョコレートよりも甘さが抑えられているので、一見太りにくいように見えますが、脂質やエネルギ‐量が高く食べ過ぎると肥満や体重増加に繋がります。
肥満や体重増加の原因になる
肥満や、体重増加はもちろんのこと、脂質や糖質の摂り過ぎは動脈硬化や糖尿病のリスクも高めるので、1日の摂取目安量を守って摂り過ぎないようにしましょう。
厚労省による「食事バランスガイド」では、おやつや間食として摂取する際の目安カロリーは200kcal程度とされています。
カカオ70%以上の高カカオチョコレートの場合は、約30gで180kcalほどなので、多くても30gまでに留めておくのが理想です。
チョコレートの種類やメーカーによって多少異なるので、栄養成分表示をチェックしてカロリーオーバーにならないように気を付けましょう。
まとめ
今回は、カカオポリフェノールに期待できる8つの健康・美容効果とカカオポリフェノールの効率的な摂取方法、1日の摂取目安量などを詳しくご紹介しました。
カカオポリフェノールには、動脈硬化の予防や認知症予防、脳機能の向上やアンチエイジング効果など、多くの健康美容効果があるので、日頃から取り入れることで、健康的で美しい体を維持することができます。
ダークチョコレートが苦手な方でも、ホットミルクやココアに入れたり、スイーツの材料に混ぜたりといったアレンジもしやすいので、健康と美容のために日々の食生活に高カカオチョコレートを取り入れてみてください。
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