あまり関心が無いと言う方でも、一度は食べたことがあったり、購入したことがあるかもしれません。
中には徹底してオーガニック食材しか取り入れないと言うこだわりを持っている人もヴィーガンを中心に昨今では少なくないと言われており、さらに、オーガニック食材しか子どもに与えない親もいると言われています。
スーパーに行くと野菜を中心に、様々なオーガニック食材が目に入りますが、オーガニック食材をじっくりと見てみると必ず「有機JAS」のマークが付いていることに気が付くかもしれません。
これはオーガニックの基準をクリアした証明でもあり、この有機JASマークが付いていない食品はオーガニックと名乗ることができず、消費者はこのマークによって信頼できるオーガニック商品だと判断することができます。
しかし、オーガニックは安全で身体に良いと言うイメージだけが先行してしまっている為、オーガニックに認定される基準とは一体どのようなものなのかよく知らないと言う方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、オーガニックの意味や基準、そして有機JAS認定についてご紹介します。
オーガニックとは?
オーガニックとは日本語で"有機"と言う意味です。
簡単に説明すると、決められた物質以外や決められた量以上の農薬・化学肥料を使わずに、環境や生態系に配慮をしながら自然の恵みを活かして生産されたものを指します。
日本では1970年頃からオーガニック市場が始まったと言われており、その後、健康ブームと共に、日本全国にオーガニック専門店が続々とオープンしました。
しかしこのときはまだ、オーガニックの基準が曖昧だった為、偽物のオーガニック製品も出回っていたと言われています。
そこでオーガニックの定義を定める為に、農林水産省は2000年より有機JAS制度を施行することになります。
有機JAS制度とは?
有機JAS制度とは、JAS法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)に基づく、有機食品の認証制度です。
JAS規格で定められた農畜産物、加工商品、有機飼料を農林水産省が認めた「登録認証機関」によって検査が行われ、有機JAS規格を守って生産することが認められると、製品名にオーガニック・有機の表記が可能になり、有機JASマークの表示が義務になります。
有機JAS認定の定義とは?
現在「オーガニック」、「有機」と表示されている食品は、全て有機JAS認定されており、有機JAS認定されていない食品は、オーガニック、有機と表示することは一切禁じられています。
有機JAS認定をもらうには、有機JAS規格で定められた定義を満たしていることが第一条件で、さらに適合した生産をしているか検査を行い、登録認定機関から許可を得られた製品・商品が晴れて有機JASに認証されます。
そんな有機JAS認定は有機農産物や有機加工食品、有機畜産物、有機飼料の4つの項目があり、項目によってそれぞれ基準が異なりますが、その中でも代表的な項目である「有機農産物」の主な定義は以下となっています。
・原則として農薬や化学肥料を使用してはいけない
・植え付け、種まきする2年以上前から、禁止されている化学肥料、農薬を使用していない土壌で育てている
・遺伝子組換え由来の種苗を使用しないこと
・周囲の畑から農薬や化学肥料が飛散・混入しないようにする
その他にも膨大な数の基準・規格が存在し、認証されるにはすべての基準を満たしている必要があります。
有機JASマークとは?
有機JAS認定された食品は、販売される際に必ず「有機JASマーク」が付けられます。
それまではオーガニックやナチュラルと言った文字だけが記載されていましたが、2000年の4月から「有機JASマーク」が開始されたことにより、有機JAS規格の製品を簡単に見つけることができるようになりました。
有機JASマークは、グリーンカラーでJASと言う字と葉っぱの模様が描かれており、オーガニック食品を購入したい際には、このマークを付いた食品を探してみましょう。
有機加工食品とは?
有機JAS認定される食品は、農産物だけではありません。
有機農産物や有機畜産物は、そのままで出荷されるだけでなく、加工を施して販売されることもありますが、有機農産物や有機畜産物を加工した食品のことを「有機加工食品」と呼ばれています。
有機加工食品には、有機農産物や有機畜産物を加工したもの以外にも、有機農産物と有機畜産物の両方が入っているものもあります。
有機加工食品の定義となる基準には以下のようなものがあります。
・水と塩を除いた非有機の原材料が5%以下の有機畜産物、有機畜産物、有機加工食品である
・遺伝子組換え技術を使用していない
・化学的に合成された薬剤や食品添加物の使用を避ける
・薬剤などで汚染されていない衛生管理が徹底された工場で製造を行う
有機加工食品には、野菜の加工品以外にもコーヒーやお茶、お菓子、チーズ、麺類、パン類、ジャム、香辛料、味噌、しょうゆなどもあり、有機JAS認証された有機加工食品には、有機農産物と同様に有機JASマークが必ず付けられています。
オーガニックのQ&A
ここまで、オーガニックや有機JASの基本知識をご紹介してきましたが、オーガニックについてまだよく理解できないと言う方も多いのではないでしょうか?
そこで、オーガニックについてもっとよく知りたいと言う方の為に、オーガニックのQ&Aをご紹介します。
オーガニックと特別栽培農産物の違いとは?
スーパーに行くとオーガニックと記載された食材以外にも「特別栽培農産物」と言う名の食材を見かけることがあるかもしれません。
特別栽培農産物とは農薬や化学肥料の使用を50%以下に減らして栽培された農産物で、オーガニック程の厳しい基準はありませんが、一般的な農産物よりも安全性が高くなっています。
海外にもオーガニックの認定制度があるの?
日本でも徐々に浸透して来ているオーガニックですが、全体的に価格が高価な為、海外に比べて定着していないのが現状です。
オーガニック先進国と言われる欧米では、オーガニック食品や製品が浸透しており、その上、日本よりも比較的低価格で入手できる為、とても身近な存在になっています。
また、海外では植物由来の野菜や穀物を中心にした「プラントベース」と言う食生活をしている人が多くおり、そのような人達はオーガニック食品も積極的に取り入れていることでも知られています。
そんな日本よりも一歩先を進んでいる海外のオーガニック事情ですが、そこで気になるのが認定制度です。
海外にもオーガニックの認定制度はもちろん存在しており、世界各国に様々な認証機関が設置されています。
海外のオーガニック認証機関も有機JASと同じく、厳しい審査に合格した物だけがオーガニックの証をもらうことができ、中には有機JASよりも厳しい基準が定められている機関も存在します。
海外の認証機関では、「USDA」、「エコサート」、「ユーロリーフ」、「ネイトゥルー」などが有名です。
オーガニックのお酒やビールに有機JASマークが付いてない理由は?
最近では無添加の原料で製造されたお酒やビールが販売されており、健康を意識しつつも、たまにはお酒も飲みたいと言う健康志向の人を中心に人気があります。
しかし、オーガニックと表示されている酒類を見てみると、パッケージに「有機JASマーク」がどこにも見当たらないので疑問に思うのではないでしょうか?
実は、酒類は有機JASの認証対象となっていない為、認定してもらうことができず、「有機JASマーク」を付けることももちろんできません。
しかし国税庁は、酒類における有機についての基準を定めていることから、「オーガニック」、「有機」とパッケージに表示するには、必ずこの基準に従って製造を行う必要があります。
基準さえ満たせば「有機」「オーガニック」と表示することが可能となりますがが、第三者である認証機関で審査を受けて認証を取得することも可能となっています。
オーガニックコスメは有機JAS認定の対象外って本当?
オーガニックは食品以外にも様々な展開がされていますが、中でも人気が高いのが化粧品であるオーガニックコスメです。オーガニックコスメは自然由来の成分のみが含まれているので、環境に配慮しているだけでなく肌にも優しいことから敏感肌の方を中心に人気があります。
そんなオーガニックコスメは、残念なことに有機JAS認定の対象外となっており、今の所、化粧品を審査する認証機関も無く、基準も定められていない為、自由に「オーガニック」を表示することが可能になっています。
その為、僅かな量しかオーガニック成分を使用していないにも関わらずオーガニックコスメと謳って販売されている悪質な業者もあることから、購入する際は、信頼できるブランドなのか十分に調べてから購入するようにしましょう。
ちなみに、海外ではオーガニックコスメの認証機関がいくつかある為、認定された輸入のオーガニックコスメを選ぶことで、まがいものを選んでしまう心配が無く、安心して購入することが可能です。
まとめ
体に良いだけでなく、環境にも優しいオーガニックは、取り入れるだけで心も穏やかな気持ちになれるかもしれません。
今まで興味が無かったと言う方も、店頭でオーガニック食品を見かけた際は是非手に取ってみてはいかがでしょうか?