今日は友と離れ一人野へ出かけた。
今回の目的地は20年ぐらい前の記憶だが、林道をひた走ると山の中なのに忽然と現れる平らな空間があり、その場所は自分の記憶ではカナダを連想させるような景色が広がっているはず。
正直かなり曖昧な記憶で、方向が合っているかも分からず、小雨が降る中車を止め山道を歩き始めた。
傾斜がきつく、雨が冷たい・・・日を改めようかなと思いながら歩き続け、永遠に続くかのように思えた上り坂は、ほんの20分ほど登ったところであの時見た景色が目の前に現れた。
やっぱりあった。 「カナダに到着!!」
と一人で声を上げたが、どこが・・・っと“山びこ”がツッコミを入れているようだった。
足を踏み入れるのは初めての場所だがとても懐かしく思い、野でコーヒーを入れながらいろんなことを思い出した。
当時は山仕事をしており、車で林道をかなり走り止めた場所から谷に向かって今度はひたすら降りる。着いた向かいの山が現場だ。今では考えられないかなりキツイ道中だが、途中湧き水の端に天然のわさびが群生しており、それを採って帰るのが楽しみな現場でもあった。
わさび以外に山には多くの山菜があり、仕事中見つけるたびに親方が教えてくれたものだ。
山菜だけでなく、山に生える草花までよく知っていた。
また、動物に出くわした時の対処法も話してくれたが、そこはかなりウソが多かった。
イノシシに出くわした時は、「イノシシは直進に進むから闘牛士になれ」とか「熊は足が短いから相撲を取っても勝てる」とか真剣な顔をして言った後に笑ってた。
当然ながら仕事のノウハウも全て親方直伝だ。
チェーンソー、草刈り機の使い方、目立てや鉈など刃物の研ぎ方、冬は焚火の起こし方も教わった。
あの頃教えていただいた事が、今ではキャンプで役に立っている事が少なからずあり、ふとしたことであの頃を思い出す事がしばしある。
自分が教えてもらい、経験して為になったと思える事は友にも継承したいと思う。
仕事でも、キャンプでも楽しい時を共有し継承していけたらと思うし、それってとても大切な事だと思う。信用してない人から教えてもらっても、「本当かな?」と疑問に思われるかも知れないから、人から信用されるようにならないと継承もできないという事なるわけだ。
難しいよね。
そう思うと、親方は偉大な人だった。
帰り道、親方の家に寄り線香をあげ近況報告をしてきた。
亡くなってもうすぐ1年になるが、一緒に山仕事をしていた頃が懐かしい。
ジジのパパ